園芸療法
見当識の改善と心身機能の維持・向上のために
認知症症状で最も多い見当識障害では「日時や季節、いまいる場所」が分からなくなります。
庭に出て外気を吸い、気温の変化を感じることはこの「見当識障害」の改善にもつながります。
これまで散歩や外出を自由にできていた方が
認知症症状の進行や体力低下により屋内で過ごす時間が増えるのはストレスの大きな要因です。
園芸療法では、体調面に配慮しながらも要望に合わせて開放的な屋外で過ごし
五感に刺激を与えながら心身のストレス軽減を計ることを目的としてます。
土の香りや植物の成長で精神的な安らぎを
南向きの庭では利用者さまスタッフと一緒にポット苗から植え替えた花が、見ごろを迎えると色とりどりの花を咲かせます。
毎日の水やりを楽しみに庭に出る方、「ほれ、また草が生えてきたでよ」と麦わら帽子と手袋を身に着けて準備をする方、
部屋のなかから花の変化を見守り「白い花が咲いたわね」とスタッフに教えてくれる方。
ご自身のやりがいと小さな楽しみを然の庭で見つけていただいています。
陽季節の移ろいを五感で感じる菜園スペース
季節野菜が成長すると畑に入りみんなで収穫します。夏はトマトやきゅうり、なすをみんなで収穫します。
冬は春菊や水菜、ふだん菜が畑で大きく葉を広げます。
普段はもの静かな方も「これはまだやな」「これはもう採ってもいいかな」と
きらきらした表情で収穫時期かどうかを見極めています。
庭で野菜が採れると、その日の昼食は急きょ変更。
利用者様と一緒に収穫した採れたての味を食卓で楽しんでいます。
日本の風景を大切にした空間も
南向きの庭には家庭菜園スペースのほかに、白砂利を敷き詰め築山(つきやま)を築いた日本庭園を設けています。
軒下には手作りの大きな木のベンチを配し、腰を下ろすだけで季節のうつろいを実感できます。
緑を目にして笑顔になったり、花の成長を共に喜ぶことでコミュニケーション力の維持向上につながるのです。
大きな南向きの窓からは陽射しがたっぷりと差し込み室内に居ながらにして季節と時間の流れを全身で感じていただける空間です。